町へ出よう

【おでかけ】
こんばんは。
大掃除の成果を実感して満足している自分です。



続きです。


いよいよ館内へ。

ぎぃー。
奇妙な顔の描かれたドアを開けると,左手に入館受付があります。

受付は無人でした。

「たのもー」

声をかけると,事務所から若いおにいさんがダッシュしてきました。
完全に油断していたようです。
それほど来館者が少ないのでせうか。
入館料530円を支払い,お兄さんとちょっとだけ世間話をしてから展示室へ。

なお,館内は一か所を除いて撮影禁止だったため,残念ながら展示品の写真は撮れませんでした。


展示には常設展示と期間限定の企画展示があります。
寺山修司氏生誕80周年にあたる今年度前半の企画は,「テラヤマミュージックワールド」なるものでした。

画像


自身が作詞を手掛けた楽曲や,寺山氏の所有していたレコードが大量に展示されています。
なかなか壮観です。
蔵盤はジャンル問わずシャンソン,映画音楽,演歌,アイドルまで様々でした。

物販コーナーもここの一角にありました。
ほすい・・・。


続きまして,渡り廊下を通って常設展示室へ。

小さめの円形体育館のような感じ。
壁沿いには,年表,著作集,自身が主宰した劇団・天井桟敷の公演ポスター,映画のポスターなどが展示されています。
レアだわー。


演劇実験室・天井桟敷について少しだけ。

天井桟敷というのは,一般的には劇場の安い席のことです。
その名のとおり,新劇と言われる括りをはみ出して,観客の側から見た演劇というのを念頭に置き,寺山氏を中心に1967年に旗揚げされました。
演劇実験室と銘打たれた通り,日本ではそれまでにないような様々な試みがおこなわれました。
真っ暗闇な会場で演じられる“見えない演劇”や,街の複数の地点を舞台に見立てた“市街劇”など。
アングラ演劇のキワモノ的な部分や,警察が介入してきたり乱闘などスキャンダラスな側面ばかり取り上げられることも多かったのですが,海外での寺山演劇の評価は高いものでした。

そんな天井桟敷も,1983年に寺山氏が死去したことにより,空中分解したような形で解散となります。
寺山氏の生前の言葉を借りれば,「天井桟敷の芝居を世襲しつつ残す必要はない」という意志に沿ったかたちとなったようです。
その一方で,「毛皮のマリー」「阿呆船」などは,近年でも再演されています。
これもまた,寺山氏の「やりたい人がいたならば,やってくれればいい」という意に叶っているのかもしれません。

ちなみに,ロックバンド・ドレスコーズの志磨遼平氏が以前結成していたバンド・毛皮のマリーズは,先述の寺山氏の戯曲「毛皮のマリー」に由来するものです。

また,最近ではサザンオールスターズが3月末にリリースしたアルバム『葡萄』に,「天井桟敷の怪人」という,いかにもな曲が収録されています。
曲名は「オペラ座の怪人」のパロディでせうね。
こちらにも「毛皮のマリーがいいかどうかなんてわかんない」という歌詞が登場します。
こちらも寺山氏ひいては当時のアングラ演劇をリスペクトしていると思われるのですけど,桑田氏のことなのでそのあたりについてはそれほどの深い意味はないのかもしれませんね。


ここまでマジメなお話。
以下,通常運転に戻ります。


常設展示には映画のトレーラーを放送しているプロジェクターや,寺山氏の肉声が聴ける映像コーナーなど視聴覚にうったえてくるものも。
特に映像コーナーの寺山氏一問一答がすげーおもしろ。

質問者の女性が寺山氏に問いを投げかけ,寺山氏がそれに答える形式です。
おそらく質問者は寺山氏のマネージャーをしていた田中未知姉かと。
その質問がやたらと捻くれています。

ex.
「羊を何匹まで数えたことがありますか?」

「歴史は何かの役に立ちますか?」

「待っていてくれた人のことをすべて覚えていますか?」

「人の肉を食べたことがありますか?」

そして,それに青森訛りで答える寺山氏の回答が,その捻くれた質問のさらに上をいくものでした。
答えが高度すぎたので,ここには書きませんけど。


それでも面白いやり取りを二つほど。

質問者 「記号に色をつけるとしたら数字の6は何色ですか?」

寺山氏 「6は緑ですね。1は白で2は黒で3は赤だからね」

競馬ww

まあ,これは想定内。
競馬好きな人の多くはこう答えることでせう。


質問者 「地図に載っていない島を3つあげてください」

寺山氏 「シルバーシャーク,テスコボーイ,ノーザンテースト」

競馬ww

これは想定外でした。
もちろん,そんな島の名前など咄嗟に出てくる人など,まずいないでせう。
何食わぬ顔で威風堂々と即答した寺山氏の,回転の早さと割り切り具合に驚きでした。

なお,これらの質問については,国会答弁のように事前に質問事項が提示されていたものではなく,ぶっつけ本番の真剣勝負であったと信じたい。
予定調和なんて寺山氏が好むはずはないのですから。


唯一写真を撮ってよいスペースがここでした。

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観光地によく見られる顔出しパネル。
さすがに顔は出すまい。

その隣には寺山氏が線路を走っている写真パネルが。
実際の線路を手前に敷設しておくというギミック。
イイネ。


常設展示室の中央は2段構えとなっており,上段には寺山氏が主宰した劇団・天井桟敷で使われていた大道具や舞台装置などが雑然と並べられています。
薄暗い館内であるのと相まって,なんかカオスです。

その下段には机と椅子が10組ほど整然と並べられていました。
それぞれの机の上には懐中電灯だけがポツンと置かれています。
座って引き出しを開けてみると,そこには寺山氏にまつわる様々なものが収納されていました。
館内が暗いため,懐中電灯を使って引き出しの中の展示を見るような仕組みで,こっそり覗き見るという背徳的な状況を演出していました。
そして,その引き出しを開けるのがスイッチとなり,上部のプロジェクターから机の上に映像が投影される仕掛けが施されていました。
映像は天井桟敷の上演風景であったり,寺山氏に対するインタビューの模様など様々です。
音声が聞こえづらいのがやや難点。


そんな感じで1時間半ほどふらふらと滞在してきました。
帰り際には受付カウンター横に設置されていた“寺山修司の言葉ガチャガチャ”をやってみましたよ。

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「男は生涯に一回だけ勝負すればいいのだ」

どことなくバカボンのパパっぽかったのであります(


記念館を出る際,受付カウンターにはさっきのお兄さんがいたので,またちょっとお話をしました。

O2 「ここって来るのけっこう大変ですよねー」

お兄さん 「そうですねー。でもバスありますよー。たまーに・・・」

O2 「・・・お,おう」

やっぱり訪れるのは大変そうです。

お兄さんには「また来ます」といってお別れしました。
マニフェストが増えてしまったね(


結局,自分が滞在していた間は他の来場者はいませんでした。
貸し切りだー。
いいのか悪いのか。

寺山氏の言葉に倣って,来年以降死ぬまでにもう一度ここへ帰ってこよう思います。

「百年たったら帰っておいで 百年たてばその意味わかる」


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